大数の法則
The Law of Truly Large Numbers
大数の法則とは、一見するとたいへんまれなことが偶然生じたように見え
ても、じゅうぶんに多数のサンプルを集めて調査すれば、それほど珍しいこ
とがらではないことがわかる、という法則である。
たとえば、宝くじに2回も当たった人を見たら、あなたはびっくりするだ
ろう。宝くじに2回当たる確率は、天文学的に低いからだ。ニューヨーク
タイムズ紙はかつて、ニュージャージーの州営宝くじに2回当たった女
性を報道したことがある。その確率は``17兆分の1''だという。しかし、パ
デュー大学の統計学者ステファン・サミュエルとジョージ・マクビーは、誰
かが2回宝くじを当てる確率は、約30分の1であると算出した。これは4カ月
間に限ったもので、7年間では2回当たらない確率よりも高くなる。なぜだろ
う?宝くじを、たった2回、それも各々1枚ずつしか買わない人はいない。
ふつうは毎週、しかも何枚かまとめて買うのである。(Persi and Mosteller)
あなたと同じ誕生日の人は世界中に1600万人いる、と聞けば、驚く人もい
るだろう。ふつうフットボールの試合では50,000人の観客が集まるが、観客
のほとんどは、その場にいる約135人と誕生日が一緒なのだ。(ちなみに、2
月29日生まれの人は例外である。この日に生まれたひとは、50,000人のうち
約34人しかいないのだ。)
つぎの話を聞いたら、さらに驚くだろう:``この中からランダムに23人選
ぶと、そのうち2人が同じ年月日に生まれた確率は50%である。''[Martin]
一方、あることがらが起こる確率は100万分の1だ、と言ったとしよう。こ
れほど低い確率では、それが偶然起こる可能性は無限に低いと考えるかもし
れない。しかし、地球上の59億人についてみれば、100万分の1の確率に当て
はまる人は、けっこういるのである。たとえば、現実世界で飛行機事故が起
こる前日に、飛行機事故の夢を見る確率が、100万分の1だったとしよう。59
億人が毎晩見る夢のテーマは平均すると250種類なので(ハインズ、p. 50)、
毎晩およそ150万人が予知夢を見ていることに
なる。私たちはまっとうな悩みや心配ごとについて夢を見る傾向があるし、
それに夢のデータはふつう漠然として不明瞭なものである。したがって、飛
行機事故の夢を見る人の実数は、もっと多いだろうし、いろいろな夢から現
実の出来事を予知したとみなせるのだ。
関連する項目:夢 (dreams)。
参考文献
Diaconis, Persi and Frederick Mosteller, "Coincidences,"
in The Encyclopedia of the Paranormal, ed. G. Stein (Amherst,
N.Y.: Prometheus Books, 1996). $149.95
Hines, Terence. Pseudoscience and the Paranormal (Buffalo,
NY: Prometheus Books, 1990). $19.16
Martin, Bruce. "Coincidences:
Remarkable or Random?" in The Skeptical Inquirer,
September/October 1998.
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