しかしながら、ここに、一般的な見解の一致があります。それは、報酬を支 払うこと、すべてが、皆、同様の効果をもっているわけではないという見解です。 実験への参加に対し、一律の謝礼を支払うことや、、職場で定期的に賃金 を与えることは、必ずしも、内発的動機づけを低下させるわけではありません。 報酬が、与えられた課題のパフォーマンスに対して、または、よい仕事をし終え たことに対して支払われるならば (それは、ちょうど、それぞれ、出来高払い、 特別賞与に対応しますが)、問題をより悪化させることになります。
従って、問題を解く鍵は、どのように報酬が受け手にとらえられている かという点にあります。もしも、私たちが、何かを得るために、仕事をしている と考えるようになれば、私たちは、もはや、その仕事自体をすることに価値があ るとは思えなくなるでしょう。
うまく、この法則をあらわす古い冗談があります。むかしむかし、あるとこ ろに、ひとりの老人がいました。この老人は、近所にすむ子どもたちから罵倒さ れて、悩んでいましたが、とうとう、ある撃退法を考え出しました。老人は子ど もたちに、もし、火曜日にもう一度、罵倒すれば、一ドル、あげようともちかけ ました。子どもたちは、火曜日にあらわれて、一所懸命に罵倒し、お金をもらい ました。しかし、老人は、子どもたちに、水曜日だったら、25 セントしかあげ れないよといいました。子どもたちは、水曜日に戻ってきて、もう一度、老人を 罵倒しましたが、それは前回の4分の一程度の熱心さでした。そのとき、老人は、 子どもたちに、木曜日は一ぺニーしかあげられないと告げました。「気にしない で」と、子どもたちはいいました。そして、再び、子どもたちが、老人を罵倒す ることはありませんでした。