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3. 手段と目的

1982 年、Stanford 心理学者 Mark L. Lepper は、ある課題が、一度は、ど んなに楽しそうに映っても、その課題を目的としてでなく、手段として、ひとに 与えるなら、その課題の価値は低下してしまうことを示しました。彼は、幼児の グループに、ある課題をし終えるまでは、幼児の好きな別の課題に取り組むこと ができないと告げました。それ以前は、どちらの課題も同じように好きだったの にもかかわらず、二番目の課題の前にしなければならない一番目の課題を、幼児たちは嫌うようになったの でした。

ひとは、言葉によるフィードバックを、自分の行動を制御する道具として、 他者が使っていると感じる場合があります。この場合、その言葉かけをすること が、報酬と同様の効果を、動機づけに対してもつことは十分にありうることです。 企業における従業員の研究において、「よろしい。あなたたちは、自分のなすべ きことに沿って、仕事をやっています」と告げられた従業員は、有益なフィード バックをうけた他の従業員に比べて、有意に内発的動機づけが低いことを見い出 しました。

Ryan によると、両者の違いは、「あなたの仕事は価値あるものです。だから、 この報酬をあげましょう」と告げることと、「あなたは、私の定めた基準に従って行動しました。だからこの報酬を受け取ることができるのです」と告げることとの違いにあ ります。

似てはいないが、相互に関連する問題群は、創造性に関する場合に 現れてきます。もちろん、芸術家は、生計を立てなくてはなりません。しかし、報 酬の意味を軽視し、報酬を制御の手段として使用しないことによって、「報酬の もつ創造的な仕事への望ましくない効果を、最小限にとどめることができる」と Amabile は、いっています。創造的仕事は、上述の研究が示唆するように、 強制されて生まれるものでは決してなく、ただ偶然によって生まれてくるのを 許容することしかできないのです。


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