Robert Todd Carroll
SkepDic 日本語版
|
|
アトランティス
Atlantis
アトランティスは、ジブラルタルの西、大西洋の中にあるとされた伝説の島である。プラトンはアトランティスを、地震によって海中に没したユートピアであると述べた。議論の余地は多少残るものの、古代ティーラ(サントリニ島)をアトランティスとする理論もある。ティーラはエーゲ海にあるギリシャの火山島で、紀元前1625年に火山の噴火で壊滅した。それまではクレタ島のミノア文明に属していた。
しかし、多くの人にとってアトランティスはたんに失われた大陸であるだけではない。それは失われた世界なのだ。アトランティス人は核兵器か異星の超兵器で自らを滅ぼした異星人だった。アトランティスは先進文明とテクノロジーの都であった。スコットランドの神話学者 ルイス・スペンスは、科学的方法論の代わりに``インスピレーション''を用いて、ヨーロッパのクロマニヨンにある洞窟絵画は避難してきたアトランティス人の描いたものだと述べた。[Feder, p. 130]ヘレナ・ブラバッキーや19世紀末の神知論者 は、アトランティス人が飛行機や火薬を発明し、異星の麦を育てていたとする概念を発明した。神知論者は太平洋の失われた大陸 ムー も発明した。心霊治療師エドガー・ケイシーはアトランティスの文書から霊的な知識を得たと主張している。この文書は予言や治療をおこなうとき、彼を手助けするそうだ。J・Z・ナイトは彼女の交信する精霊ラムザがアトランティスからやってきたと主張している。
アトランティス伝説を真面目に調査するなら、イグネシアス・ドネリーの Atlantis: the Antediluvian World (1882)を読むべきである。ドネリーはフォン・デーニケンやヴェリコフスキー、シッチン の精神のもとで、プラトンの伝説は本当にあった歴史だと推測している。しかし、アトランティス伝説が有名になった原因は、人気作家J・V・ルース(The End of Atlantis, 1970)や、バミューダトライアングルとノアの箱船の発見を有名にしたチャールズ・ベルリッツによるところが非常に大きい。ベルリッツの Doomsday, 1999 A.D. (1981) には、J・マンソン・バレンタインによるアトランティスの地図や絵が掲載されている。
ニューエイジのアトランティス人たちには残念だが、アトランティスとムーが存在したことを示すような考古学的、地質学的証拠はない。ホワイトヘッド、アトランティス信仰、偉大なる古代文明、などと言い替えても、プラトンへの脚注をもうひとつ増やしているだけにすぎない。
参考文献
Atlantis , edited by Isaac Asimov, Martin
H. Greenberg, and Charles G. Waugh (New York: New American Library,
1988).
de Camp, L. Sprague, Lost Continents: the Atlantis
Theme (New York: Ballantine, 1975).
Ellis, Richard. Imagining Atlantis (New York:
Knopf, 1998). $19.60
Feder, Kenneth L. Frauds, Mysteries and Myths,
ch. 8, (Mountain View, California: Mayfield Publishing Co.,
1990). $15.96
Gardner, Martin. Fads and Fallacies in the Name of
Science (New York: Dover Publications, Inc., 1957), ch. 14. $6.36
|