ゼカリア・シッチンと地球年代記
Zecharia Sitchin and The Earth Chronicles
``...彼は大衆に信じたいものを信じさせるような本を売って生活する、毎度現れる変人のひとりにすぎない。''
−−−ロブ・ハファーニック
シッチンは、エーリッヒ・フォン・デニケンやイマニュエル・ヴェリコフスキーとともに、古代史にまつわる疑似科学の伝奇作者として、聖なるトリオの一角をなしている。彼らはみな、古代の伝説が伝説などではなく歴史的・科学的事実だという仮定からはじまっている。シッチンは古代シュメール文字の石板を独力で正確に読み取ったと述べ、自身の名声の正当性を主張している。シッチンによれば、シュメールの石板には、神がおよそ45万年前に別の惑星(3,600年周期で太陽を巡る惑星ニビル)から地球へやってきて、メスザルになんらかの遺伝子操作を施して人間を創り出したことが書いてあったのだ。つまり、他の学者たちはみな石板を誤読していた、ということになる。これら神の子孫たちが核兵器によっておよそ4,000年前に自分たちを吹き飛ばしてしまったというが、そんな証拠を見出した科学者は、シッチン以外にはいない。シッチンだけが無類の学者として、一人でそうした説を背負って立っている。シュメールの石板を眺めて、人間が放射能に弱いと書いてあることが読み取れるのは、シッチンだけだ。古代語を正しく翻訳して、古代人がロケットを作っていたことを発見できるのも、シッチンだけだ。
シッチンはヴェリコフスキーと同様に、自身を博学で学究的であるかのように見せかけている。両者とも古代の伝説について造詣が深く、両者とも科学には無知だ。フォン・デーニケンやヴェリコフスキーと同様に、シッチンは事実や誤解、フィクション、憶測、誤った引用、そして誤訳から、面白い物語を無理矢理に編み出す。みな別世界からやってきた古代の来訪者からはじまっており、事実とフィクションを自分の基本的仮説に適合させようとする。彼らはみな、自分に都合の悪い事実を無視したり、何もなかったところにミステリーを造りあげて、それを解くのにエイリアン仮説を持ち出してくる点では天才的である。彼らの著作はまともな科学ではなく、出来の悪いSFである。しかし彼らは、善きミステリーを愛して世界や科学的研究の限界に無知で分別のない、そんな人々にとっては魅力的なのだ。
シッチンの思いつきは、もう一人の賢者、ラエルにはぴったりだった。彼は、我々人類は宇宙からやってきた古代の来訪者によるDNA実験の結果生じたという思いつきにもとづいて、独自の宗教(Raelian Religion, ラエリアン・ムーブメント)をはじめたのである。ラエルは地球外生命体に操られてチャネリング本さえ書いている。この本は最後のメッセージ (The Final Message、邦訳は真実を告げる書、日本ラエリアンムーブメント刊)という。われわれは、この本を最後にしてくれとただ祈るしかない。
関連する項目:エイリアン・アブダクション (alien abductions)、古代の宇宙飛行士 (ancient astronauts)、シリウス (Sirius)、火星の人面 (the face on Mars)、UFOとET、ヴェリコフスキー (Velikovsky)。
参考文献
Sitchin's Twelfth Planet by Rob Hafernik
Counter-Culture page on Zecharia Sitchin
Ancient Astronauts page of Drs. Larry J. Zimmerman and Richard A. Fox, Jr. of the University of South Dakota
Interview with Zecharia Sitchin
Zecharia Sitchin
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