Robert Todd Carroll SkepDic 日本語版 |
ドゴン族とシリウスの伴星 The Dogon and Siriusロバート・テンプル(シリウスのミステリー The Sirius Mystery)によると、西アフリカのドゴン族という人口約10万人の民族は、地球外生命とコンタクトをとったことがあるという。テンプルはその証拠として、この民族がシリウスの伴星であるシリウスβの存在をすでに知っていた、ということを根拠のひとつとしてあげている。ドゴン族は、シリウスβが主星シリウスのまわりを回っていることや、その公転周期が約50年であることも知っていたと思われている。テンプルはその証拠の一つとして、ドゴン族がその信仰のために作成した砂絵を引用している。その絵は、もともとはドゴン族がフランスの人類学者のために示したものだが、テンプルはそれを完全には明らかにしてはいない。テンプルは自身の物語にあわせて、ドゴン族の信仰を誤解しているか、それとも歪めているか、そのどちらかである。 しかしながら、ドゴン族は天文学に関する不思議な信仰を数多く持っている。彼らは、太陽中心説(地動説)や惑星の楕円軌道などの天文学的現象を伝統的に信仰している。また、彼らは木星の衛星や土星の輪などについても知識を持っているようである。もし地球外生命からでないとしたら、では誰からこうした知識を得たのだろうか?彼らは望遠鏡などの科学的装備を持ってはいないのである。こうした知識を自分で得ることはできようか?カール・セーガンは、ドゴン族が自分でこうしたことを発見したわけではなく、進んだ技術文明とコンタクトして得たのだろう、という点では、テンプルと同じ意見である。しかしセーガンは、その文明とは地球外生命ではなく、地球上の文明であろう、と示唆している。 西アフリカには、地球上の技術社会から多くの人間が訪れている。ドゴン族は、伝統的に空や天文学上の現象に興味を抱いている。セーガンが記しているように、もしヨーロッパ人が 1920 年代や 1930 年代にドゴン族を訪れていたら、お互いに天文学上の話題を交わすことだろう。その中には、天空で最も明るく輝き、ドゴン族の神話学の中心に位置付けられているシリウスも含まれることだろう。さらに、フランスの人類学者 マルセル・グリオールがドゴン族を訪問した20年代には、シリウスにまつわる天文学上の議論が科学雑誌をにぎわせていたのである。ドゴン族は20世紀の技術的な基礎事項を、地球上の他の土地からやってきた訪問者から、会話の中で受け取ったのだろう。 ヴァン・ビークがドゴン族について研究を行なったとき、彼はドゴン族がシリウスを二重星だと知っているという証拠を見つけることはなかった。トーマス・バラードによれば、ヴァン・ビークは、テンプルの主要な根拠ともなっているグリオールが``アフリカの宗教の複雑性を論証したいと望んでおり、インフォーマントに誘導的な方法で質問をおこなった。そのため、ドゴン族はグリオールのコンファビュレーションによって、新たな神話を生み出したのだ''と述べている。グリオールはドゴン族にシリウスβについて教えこんだか、あるいは``シリウス近傍の他の目に見える恒星のことを、見えない伴星のことだと誤解したのである。''(バラード) 関連する項目:フォン・デーニケン (von Daeniken)、ゼカリア・シッチン (Zecharia Sitchin)、UFOと地球外生命 (UFOs and extraterrestrials)。 参考文献Bullard, Thomas. E. "Ancient Astronauts," in The Encyclopedia of the Paranormal, ed. G. Stein (Amherst, N.Y.: Prometheus Books, 1996), pp. 30-31. Randi, James. Flim-Flam! (Buffalo, New York: Prometheus Books,1982), pp. 68-70. Sagan, Carl. Broca's Brain (New York: Random House, 1979), ch. 6, "White Dwarfs and Little Green Men". van Beek, Walter E. A. "Dogon Restudied," Current Anthropology 12, 1992, pp. 139-158. |
Copyright 1998 Robert Todd Carroll |
Last Updated 10/31/98 日本語化 10/18/99 |