心霊主義、精神主義
spiritualism (別名 spiritism)
ヒトの人格は肉体の死後も生き残り、繊細な感覚を備えた霊媒師を通じて生者と交感することができる、とする信仰のこと。心霊主義運動は1848年にニューヨークの上流階級の間で、フォックス姉妹によって始められた。フォックス姉妹はテーブルがきしむような音をたてるのをラップと呼び、これを霊と交感した証拠だとしていた。(``ラップ音''は、実際にはテーブルの足の付け根をひねって出していたのだ。)この姉妹が30年ほどのちにすべてウソだったと認めるまで、無数の霊媒師が降霊会を開き、霊が音をたてたり、何もないところから物を取り出してみせたり、光を出してみせたり、テーブルを宙に浮かせてあたりを飛ばしてみせたりと、いろいろな手品をエンターテイメントとして提供した。霊媒師は千里眼や超聴覚、テレキネシスやテレパシーにいたるまで、あらゆる種類の超能力を演じてみせた。心霊主義運動は、ウソだと繰返し非難されてもやむことはなかった。1920年代になって、およそ賢い人や聖職者をも騙し通してきた、霊媒師の種仕掛けと騙しの手口をフーディーニなどの奇術師が暴露したことで、運動は下火になった。
ハリウッド版の降霊会は、たいへん良くできている:ひとびとはテーブルを囲んで座り、部屋を暗くして手をつなぎ、霊媒師はニセのトランス状態をつくり出す。そして霊から得たとして、その場の参加者に情報を与えるのだ。ときにはテーブルを浮かせたり、奇妙な音をたてたり、何もないところから物を取り出してみせたりといった手品も用いる。多くの人にとっては、心霊主義こそが死後の世界が実在することの``科学的証明''であり、けっしてナンセンスな宗教的迷妄ではないのである。
関連する項目:チャネリ
ング (channeling)、ジェームズ・ヴァン・プ
ラーグ (James Van Praagh)。
参考文献
Houdini, Harry. A Magician Among the Spirits (New York: Harper, 1924).
Houdini, Harry. Miracle Mongers and Their Methods: a Complete Expose (Buffalo,
N.Y.: Prometheus Books, 1981). $14.36
Keene, M. Lamar. The Psychic Mafia (Prometheus, 1997). $13.56
Randi, James. An Encyclopedia of Claims, Frauds, and Hoaxes of the Occult and
Supernatural (N.Y.: St. Martin's Press, 1995). $11.96
Randi, James. Flim-Flam! (Buffalo, New York:
Prometheus Books,1982). $15.16 (paper)
Rawcliffe, Donovan Hilton. Occult and Supernatural Phenomena(New York: Dover
Publications, 1988). $8.76
Stein, Gordon. "Spiritualism," in The Encyclopedia of the Paranormal edited
by Gordon Stein (Buffalo, N.Y.: Prometheus Books, 1996). $104.95
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