チャネリング
channeling
チャネリングとは、チャネラーの主張によるなら、霊的存在が人(チャネラー)の肉体に侵入して、その身体を借りて語ったりすることである。チャネリングブームは、1972年にジェーン・ロバーツとその夫ロバート・バッツが セスは語る Seth Speaks を出版したことからはじまった。夫妻は、賢明なる``不可視の存在''である``セス''がその英知をトランス状態に入ったジェーンに伝え、バッツがそれを書きとどめた、と主張している。もともと一端の詩人であったロバーツは知識人であり、宗教やオカルトの歴史を(ユングを含めて)幅広く読みこなしてきたことは間違いない。にもかかわらず、彼女の信者はチャネリングによる彼女の言葉が、彼女自身の知的能力を大きく超えたものだと見なしているのだ。信者たちはこのことを、彼女の言葉が啓示である証拠だとしている。たしかにこれは正しい:ロバーツとバッツはきっと、人間がどれほど騙されやすいか、ひらめいたのだ。
女優のシャーリー・マクレーンとABCテレビネットワークは、こうした霊媒師を通じて語る幽霊の現代版がどれほどいいかげんなものか、示してみせた。1987年、ABCはマクレーンの著書 Out on a Limb にもとづくミニ・シリーズ番組を放映した。この番組はマクレーンがチャネラーのケビン・ライアーソンを通じて現れた霊と語り合う、というものだ。ライアーソンを通じて現れた霊の一人はイエスの現代版で、名前を``ジョン''といった。``ジョン''はアラム語を話したりはせず(イエスはアラム語で話していたのだ)、エリザベス朝英語のような口調で話していた。``ジョン''はマクレーンに、彼女こそ神の世界を共に作り上げる者だと語った。救いようのないエゴイストのマクレーンは、自分の思っていたとおりだとわかって有頂天になった。彼女は以前から、我こそ女神だと述べていたのだ。(Gardner, 1987)
マクレーンお気に入りのチャネラーの一人、J・Z・ナイトは、ラムザという35,000歳のクロマニヨンの戦士にチャネリングしていると主張している。ナイトはこのばかげた思いつきによって一躍有名人となり、多額の富を得た。ナイトのパトロンの中には、彼女のセミナーに参加して、``潜在能力の新たな地平を切り開くために心を開かねばならない''といった知恵をおしいただくために1,000ドルも支払う者までいるのだ。
関連する項目:カルロス ("Carlos,")、ダイアネティックス (dianetics)、ブライディー・マーフィー (Bridey Murphy)、エドガー・ケイシー (Edgar Cayce)、ラマ (Rama)、ラムザ (Ramtha)、輪廻転生 (reincarnation)。
参考文献
Alcock, James E. "Channeling," in The Encyclopedia of the Paranormal edited by Gordon Stein (Buffalo, N.Y.: Prometheus Books, 1996), pp.759-766. $104.95
Gardner, Martin. "Isness Is Her Business," New York Review of Books, April 9, 1987.
Gardner, Martin. The New Age: Notes of a Fringe Watcher (Buffalo, NY: Prometheus Books, 1988). $15.96
"Voices from Beyond: The Age-Old Mystery of Channeling," in The Fringes of Reason (New York: Harmony Books, 1989).
|