Robert Todd Carroll SkepDic 日本語版 |
悪魔の眼 the evil eye悪魔の眼とは、``悪魔の眼''を持つ者が子供や家畜や作物などに向ける眼差しである。なぜ悪魔の眼を備えて生まれる人と、そうでない人がいるのかには、特に理由はないようである。悪魔の罠はふつう、標的をなにげなく褒めそやしたり、羨んだりしながら仕掛けられる。しかし、シチリアやイタリア南部ではジェッタトーラ jettatoreと呼ばれるある種の人々が悪意を持って悪の眼を犠牲者に向けると信じられている。教会の審問官は悪魔の眼を捜索するよう指示されているが、悪魔の眼の信奉そのものは、必ずしも魔術や妖術と関係しているわけではない。法王ピウス9世はジェッタトーラだという風評がたったが、それは彼が悪意を持っていたためではなく、むしろ彼が祝福した人や場所に災いが起こったと考えられたためである。 悪魔の眼という迷信は世界的なものではないが、古くから広まっている。これはシュメール文明で始まったのではないかと考えられている。その起源は明確になってはいないが、信仰じたいは異邦人にたいする恐怖心やその他の社会的問題、そして因果にかんする素朴な考え方に、その根があるのだろう。つまり、誰かに褒めそやされたり異邦人に見つめられたあと、子供が病気になったり、作物が枯れたりしたのだろう。悪魔の眼による災いを防ぐために、賞賛を固持したり、褒められた子供につばや泥をつけたり、見知らぬ人に見つめられるのを避けたり、聖書やコーランの一節を唱えたりと、さまざまな儀式が開発された。この信仰は現在でも、地中海やエーゲ海諸国に広く流布しており、悪魔の眼を避けるために厄除けのお守りや護符が広く売られている。民俗学者の中には、悪魔の眼という信仰が生物人類学的な根を持つ(見つめる者と見つめられる者の間には支配と服従という関係が示されている)と信じ、見つめられることを嫌う人間の特徴と結びつける者もいる。 悪魔の眼は、ヘブライ語では ayin horeh、アラビア語では ayin harsha、スコットランド語では droch shuil、フランス語では mauvais oeil、ドイツ語では boese Blick、イタリア語では mal occhio という。ローマ古語では oculus malus として知られる。 参考文献Lucky
Mojo on the evil eye
Dundes, Allen. editor, The Evil Eye: A Casebook (University of Wisconsin Press, 1992). $15.95 Stevens, Phillips. Jr. "Evil Eye," in The Encyclopedia of the Paranormal edited by Gordon Stein (Buffalo, N.Y.: Prometheus Books, 1996) pp. 235-241. $104.96 |
Copyright 1998 Robert Todd Carroll |
日本語化 02/09/00 |