Robert Todd Carroll SkepDic 日本語版 |
因果の誤り post hoc fallacy直訳すると、この後に(after this)。ラテン語の post hoc ergo propter hoc(この後に、したがって、これ故に)を略したもの。 この誤りは、あることがらは別のあることがらの後に起こった、したがって、 最初の出来事は次の出来事の原因である、という誤った発想にもとづいてい る。多くの出来事は、互いに因果関係がなくても、時間的には順序立てて発 生するものである。たとえば、酒を飲んだ、すると2週間後に風邪が治った。 頭痛がするので逆立ちしてみた、すると6時間後には頭痛が治った。ニキビに 薬を塗った、すると3週間後にはニキビが消えた。風呂に入るのを忘れて仕事 をしたら、たいへん良い結果が出せた、したがって、次回同じ仕事をすると きは風呂に入らずにおこう。多くの民族は日蝕のとき太鼓を叩いて、太陽が 戻るよう神に祈る:これは日蝕のたびに、毎回効果があるのだ!ただたんに、 あることがらが別のあることがらの後に起こったからといって、両者のあい だに関係があるとはいえないのだ。 ダウジング棒を使うと、水脈が見つかる。コイン投げで、表が出ると思っ たら、その通り表が出る。幸運のお守りをなでると、望みがかなう。お守り をなくすと、不幸が6つもたてつづけに襲ってくる。水辺か畑の中に死体があ ると``直観''すると、後で本当にに死体が水辺か畑で見つかる。デイジーお ばさんの牛が死んだ夢を見ると、本当に牛は死んでしまう。などなど。偶然 は起こりうるのだ。それは原因のあと、必然的に起こりうる条件を備えてい たものかもしれないが、それが原因で起きたと因果関係を断定するには十分 な条件ではない。 2つの出来事のあいだで因果関係が確かに存在する、と断定するには、対 照をたてて偶然や他の想定外の要因の影響を除外しなければならない。たと えば、クアドロ社は QRS 250G ``検出器'' なる製品を作って、これ をひとつ 995 ドルで売っている。これはドラッグや武器、ゴルフボール、 その他もろもろを探知できる、というものだ。この製品は簡単に試してみる ことができるが、これを使ってドラッグやゴルフボールを捜し出すだけでは 性能を証明したことにはならない。会社社長の証言も証明にはならない。 治安担当者の談話、制服警官の談話であっても、証明にはならない。この検 出器とにせものの検出器を使って比較した、対照研究であれば、証明となりう る。会社とは無関係の研究者が、あらかじめドラッグやゴルフボールを埋め ておいて、実験用にあつらえた環境で試験して、それで良好な結果が出るの なら、証明となりうる。QRS 250G を使いはじめたら麻薬検挙者が50%増えた、 といった、なんたら警察署の署長の証言は、無価値である。相関関係は原 因と結果を判別することができないのと同様に、出来事の順序でも、確から しい因果関係を示すことはできないのだ。 関連する項目:その場しのぎ仮説 ad hoc hypotheses、確証バイアス confirmation bias、コールド・リーディング cold reading、対照研究 control study、組織的強化 communal reinforcement、オッカムの剃刀 Occam's razor、プラシーボ効果 the placebo effect、選択的思考 selective thinking、自己欺瞞 self-deception、主観的な評価 subjective validation、証言 testimonials, ジェームズ・ヴァン・プラーグ James Van Praagh、ないものねだり wishful thinking.。 |
Copyright 1998 Robert Todd Carroll |
日本語化 09/14/99 |