悪魔祓い
exorcism

もし無知が至福なら、悪魔祓い師たちは涅槃の境地にあるに違いない。

悪魔ばらいとは、身体や土地やものにとり憑いた悪魔や悪霊を祓い清めるためにおこなう、宗教儀礼である。ローマカトリック教会は現在も悪魔憑きを信じており、カトリック司祭は聖水や呪文、多数の祈祷師、香物、遺物、十字架といったキリストのシンボルをつかって悪魔を追い出す、いわゆる``本物の悪魔ばらい''を実践する。

悪魔ばらいは人間にたいして行うだけでなく、ものや土地にたいしても行うことがある。この場合、``本物の悪魔ばらい''を行う必要はなく、``略式の悪魔ばらい''でいい（ふつうは幼児なら先例したり、家屋や土地なら``祈祷''すればよいと考えられている）。どうやら悪魔はどこにでもいるらしいが、本物の悪魔ばらいが必要となるのは、邪悪な存在が顕現したときだけなのだ。

たとえすべてではないにしても、人が悪魔にとり憑かれたとするものの大部分は、おそらくてんかんや精神分裂病やトゥレット症候群などの脳疾患か、あるいは脳は多少なりとも正常だが、不幸にしておよそ満足できるはずもないような社会的役割を負わされているのにすぎない。いずれにしても、悪魔憑きの行動は電気化学的・神経科学的その他の原因による身体疾患ときわめてよく似ている。

悪魔ばらいを世俗化したタイプのものは、セラピストによって実践されている。彼らは患者がある種の``実体''、つまり問題の原因となるものを抱えていると信じており、もっぱらこれを明らかにして除去することによって患者を治療しようとする。``実体''などというものの存在は、カトリック司祭が祓う悪魔と同じぐらい根拠に乏しいのだが、実体を追い出すセラピストはこうした治療法を実践している。しかしながら、悪魔憑きなど迷信にすぎないとする考えには多くの人が頑固に抵抗している。これはとくに、エクソシストやアミティヴィル・ホラーといったフィクションのホラー映画や小説を見たりしているからだ。こうした人たちは、このようなほら話など誰でも簡単にでっち上げられるということを想像できない。逆に、こうしたほら話を信用する方に想像力を働かせてしまうのだ。

関連する項目：幽霊 (ghosts)、悪霊の棲む家 (haunted houses)、催眠術 (hypnosis)、メスメル効果 (mesmerism)、悪魔 (satan)。

参考文献

• Esophagus Exorcism!
• "Woman Admits Guilt in Exorcism Death"
• "Mother, neighbor guilty in killing kid in fit of exorcism"
• "Man sentenced for exorcism"
• exorcism: from the Dictionary of Feminist Theologies

Gold, Mark S. The Good News About Depression : Cures and Treatments in the New Age of Psychiatry (New York: Bantam Doubleday Dell, 1995). 本署は悪魔ばらいを取り上げているわけではないが、精神分裂病やhypermania、うつ病にといった脳疾患ついて取り上げるとともに、精神病類似の症状を示す身体疾患やについても膨大な情報が収録されている。これら身体疾患の多くは無知によって悪魔憑きとみなされてきたし、それは現在も続いている。

Singer, Margaret Thaler and Janja Lalich. Crazy Therapies (San Francisco: Jossey-Bass, Inc., 1996). $16.45Review.

Spanos, Nicholas P. Multiple Identities and False Memories: A Sociocognitive Perspective (Washington, D.C.: American Psychological Association, 1996). $29.95

evil eye

Eye Movement Desensitizaton Reprocessing