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Robert Todd Carroll

SkepDic 日本語版
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ギャンブラーの誤り
the gambler's fallacy

ギャンブラーの誤りとは、ある出来事の起きる確率があらかじめ決まっているにもかかわらず、その前後に起きた出来事による影響を受けて、あたかも確率が変化するかのように誤って思い込んでしまうことである。

たとえば、私のいるカリフォルニアにはスーパーロトという州営の宝くじがある。これは51個の数字から、これと思う数字を6つ選んで当ててみよう、というものだ。簡単でしょう?では、当たりの確率はどのぐらいだろうか?ふつうの週にはどのぐらい当たっているか、ここに示してみせよう。1998年7月25日の当選番号は、5,7、21、32、44、46だった。賞金は1600万ドル(約16億円)である。数字を6つとも当てたものは1枚もなかった。5つ当たったものは170枚あり、それぞれ1500ドルづつ賞金を手に入れた。6つのうち4つまで当てたものが9715枚あったが、賞金は72ドル。そして3つ当てたものは176,657枚で、賞金は5ドルだった。

コンピューターを使って、6つの数字の組み合わせを1秒間に1組ずつ無作為に生成するとしよう。すると、あなたはたぶん2004年4月まで休みをとれる計算になるのだ。1998年7月25日のロトくじの当選番号が画面に現れるまでには、それほど長い時間がかかるのだ。

6つの数字が6つとも当たる確率は、18,009,460分の1である。5つの数字が当たる確率は66,702分の1、4つなら1213分の1、3つなら63分の1となる。

金額を問わず賞金がもらえる確率は、合計して60分の1である。

この宝くじを毎週100枚ずつ、あなたが買い続けるとしよう。この場合、あなたが6つの数字をあてて1等賞金を手にする確率は、平均3,463年に1回である。もし毎週$25,000かけて、くじを買い続けるとすれば、14年に1回は1等を引く計算になる。あと50年生きるとして、もし生きている間に1度でも1等を引き当てたいと思ったら、あなたは毎週6,927ドル分のくじを買い続けなければならないのだ。もちろん、そんなことをしても収支はゼロにさえならない。大当たり引き当てるのがいつになるかにもよるが、約200万ドルの赤字となるだろう。

だが、もし数字を6つとも当てるのをあきらめて、5つ当てるだけで満足するとなったら、問題はとたんに易しくなる。毎週100枚ずつ買い続ければ、平均12.8年に1回は5つ当たりを引き当てることができるだろう。だが、およそ1500ドルを稼ぎ出すには、67000ドルも必要になるのだ。

もしどうしても``必ず勝つ''一人に入りたければ、毎週120ドル分ずつ、くじを買ったらいい。平均して毎週10ドル程度の賞金収入(ただし課税前の源泉)が見込める。したがって、``必ず勝つ''ためには、毎週110ドルの損失を我慢すればいいのだ。簡単でしょ?(ここで言っている``必ず勝つ''というのは、あくまで1998年7月25日の払い戻し金額にもとづくものであり、それ以外の場合については保証の限りではない。)

確率なんて打ち負かせることができるさ、などと考える人もいるだろう。つまり、ここ最近の当選番号をよけて数字を選ぶか、あるいはここ最近、確率的に期待されるよりも頻繁に出現する番号を選べばいい、などと考えたりするのだ。この場合、どちらもギャンブラーの誤りを侵しているのだ。確率はつねに一定なのだ。過去にどの数字が選ばれようと関係ない。このギャンブラーの誤りは、たとえばルーレットの場でよく見られる。3回続けて黒が出たから、次は赤に賭けよう、などと考えてしまうのだ。次に黒が出る確率は、今までどちらの色が何度出ようが、つねに一定なのだ。

ロトくじには、非合法なネズミ講詐欺でよく見られるのと、同じなにものかが潜んでいるのではないだろうか:両方とも、誰かが莫大な賞金を手にする一方で、多くの人は賭けたものをすべて失うはめになるのだから。

(注意:上で示した計算には経済的価値はまったくないし、統計専門家による検証を受けたわけでもないことを記しておく。試してみるなら、あくまで自己責任で。)



Copyright 1998
Robert Todd Carroll

日本語化 02/08/00

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Ganzfeld experiment rarrow.gif (1048 bytes)