Robert Todd Carroll SkepDic 日本語版 |
キルリアン写真 Kirlian ``photography''1939年、ロシア人セミョン・キル リアンは、写真乾板の上に物を置いて高電圧で電界を作ると乾板に画像が写 ることを、偶然発見した。この画像は色のついた後光かコロナ放電のように 見える。この画像は肉体から発せられた霊のオーラ、あるいはすべての生物 を包んでいるとされる``生命力''の証拠だとされている。 この特殊な写真``撮影''法はオーラの超常世 界への入口とされている。実際には、そこに物体が写る原因は、圧力や電界、 湿度、温度など、きわめて自然な現象にもとづいているのである。とりわけ、 湿度(これで情緒が表現されるらしい)、大気圧、そして電圧によって、異 なる`オーラ'が生じるのである。
キルリアン写真を用いれば``幽霊の影''を写し取ることができると主張 する者さえいる。つまり、乾板の上に半分に切った葉を置いて写真を``撮る'' と、あるはずのない切りとった半分も含む葉の全体が撮影できるというのだ。 だが、これは超常的な力のためではない。あらかじめ完全な葉で感光してお いたか、あるいはトリックを使ったいかさまにすぎない。 超心理学者 テルマ・モスはその著書 身体電 流 The Body Electric (1979)と不可能の可能性 The Probability of the Impossible (1983)でキルリアン写真を診断ツールとして用い て、一躍有名にした。彼女はキルリアンの発見したプロセスをアストラル体の``バイオエナジー bioenergy''への扉を開くものと確信していた。モスは人生半ばでUCLAに入 学し、心理学の学位を取得した。彼女はLSDの実験をおこなってその効果を 絶賛したが、その一方でさまざまな精神的問題を抱えて入退院を繰り返した。 ついには個人的産みの苦しみを克服して、UCLAの神経心理学研究所の教授と なった。彼女の研究は、オーラや空中浮揚や幽霊など、 超常現象に焦点を当てたものだった。UCLA時代、彼女が最も好んだテーマは ユリ・ゲラーであり、彼を何度も``撮影''した。 彼女はソビエトにまで何度か足を運び、かの地の超常現象研究家たちと会談 したこともあった。モスは1997年に78歳で死去した。 モスは他の超心理学者たちがキルリアン``写真''こそ超心理学のロゼッ タストーンだとして注目する道を開いた。彼らはいまや鍼治療、気、オルゴン・エネルギー、テレパシーなどといったことがらを理解するだ けでなく、分析して治療に役立てるだろう。たとえばバイオ・エレクトログラフィー はこう主張している:
しかし、あいにくオーラ撮影による疾病診断の信頼性は決して高くない。 ちなみに、バイオ・エレクトログラフィーと、ピーター・マンデ ルの色彩 鍼治療 Esogetic Colorpuncture とは混同しないでほしい。マンデルの それは、鍼治療とキルリアン写真を組み合わ せたものだ。 こうしたキルリアン法によるもろもろの診断と、レントゲン線断層 撮影や核磁気共鳴画像、光子・ポジトロン放射断層撮影など、その他の 有益な医用画像診断法とはけっして一緒にしないでほしい。これらの画 像診断は、オーラと一切関わりがないのだ。 参考文献読者のコメント
Abell, George O. and Barry Singer (eds.) Science And The Paranormal (New York: Scribner, 1981). Hines, Terence. Pseudoscience and the Paranormal(Buffalo, NY: Prometheus Books, 1990). $19.16 Randi, James. Flim-Flam! (Buffalo, New York: Prometheus Books,1982), $15.16 (paper) Watkins, Arleen J. and William S. Bickel. "A Study of the Kirlean Effect," in The Hundreth Monkey and Other Paradigms of the Paranormal,ed. Kendrick Frazier (Buffalo, N.Y.: Prometheus Books, 1991), pp. 209-221. $18.36 |
Copyright 1998 Robert Todd Carroll |
Last Updated 10/16/98 日本語化 12/10/99 |