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Robert Todd Carroll

SkepDic 日本語版

ロンドン・オブサーバー 紙、98年12月14日

イギリス政府の2000年問題委員会 Action 2000はイギリス国民に 対し、2000年問題による食料不足に備えて2週間分の食料を備えておくよ う推奨した。イギリス議会のスポークスマンは``政府は彼ら (Action2000)の分析に賛同しない''と声明を述べた。また、イギリス の主要スーパーマーケットは、Action2000が推奨する商品(例:缶詰、 乾燥食品、穀物)のストックを増やす予定はない。

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新千年紀 The New Millennium

世紀は千年である。新千年紀は2001年から始まる。西暦 には0年がないので、最初の世紀は1年から始まり、1000年後の1001年に終わっ たのである。もちろん、この1年はまったく勝手に決められたものであり、そ れは千年紀(millenium)や世紀(century)、10年紀(decade)でも同じこ とである。はじまりをどの年にするかによって、どんな千年紀でも作れる。 今日を千年紀の終わりとすることも、ありえたのである。1,600,000番目の千 年紀の中頃とすることだって、できるのである。それは明日だって明後日だっ てかまわない。千年紀のはじまりも終わりも、いつだってかまわないのだ。

ニューエイジのほら話に興味を持っていない限り、新千年紀には何かとて つもないことが起きる、というアイデアには、重視すべき根拠があるわけで はない。しかしながら、私たちが何か本当にとてつもないことが起きる瀬戸 際に立っている、という信念は広まりつつある。世界の終わりがやってきた り、あるいは反キリストの到来したりするかもしれない。最も間抜けな予想 には、宇宙意識へ上昇する、なんていうのもある。ネズミ講(マルチ・レベ ル・マーケティング)が市場経済にとって代わるのかもしれない。地球に潜 んだすべての宇宙人が大挙して本性を現すのかもしれない。もう一度言おう。 新千年紀は商売上有益な、妄想かもしれないのである。

この新世紀の問題には、宗教がらみでないものもある。2000年問題(Y2K problem)である。コンピュータが2000年1月1日を1900年と間違って解釈する せいで、私たちのよく知っているこの世の終わりが起こると言うのである。 コンピュータは私たちの身の回りのものすべてを管理・決定しているため (理論ではそうなっている)、そのすべてが止まってしまうというのだ。交 通信号は働かなくなり、農家は種を蒔いて作物を育てられなくなり、トラッ クは商品を運べなくなり、飛行機は墜落し、列車は時刻通り走れなくなり、 ATM支払機や銀行は預金の自動支払ができなくなる、などなど。それに続く混 乱によって生活は危険なものとなる。先見の明があって食料と武器を蓄えて おいた者は、それを持たざる者に付け狙われるはめになるからである。この 世の終わりは、コンピュータのプログラマが昔そのプログラムを書いたとき、 2桁の数字しかメモリに記憶できないようにしていたために起こるのだそう だ。そう、当時はコンピュータのメモリが高価で、プログラマはメモリを倹 約していたのだ。私たちの愚かなコンピュータは、99を1999、98を1998と解 釈するように、00を1900と解釈するのである。すでに、ニューメキシコへ行っ て水と缶詰と、共和党の認可したアサルトライフルを溜め込んでいる2000年 問題患者も存在する。その一方で、自分のコンピュータを使って、2000年問題は恐怖心を煽っ て儲けようとする資本家のペテンだ、と世に公言している者もいる。こ れは少し疑わしい。外に出て新千年紀を祝うかわりに、誰もが家にこもって 世の終わりを待つとなれば、レストランやホテル、航空会社などは、みな金 を失うのである。

2000年問題は本当のあるのだろうか?答えはイェス。2000年問題はこの世 の終わりか?それは疑わしい。もちろん、アート・ベルとその仲間た ちは2000年へのほら話と恐怖心を懸命に煽っている。それに、政府の2000年 問題の扱いが不十分であることは実際に報告されてはいるものの、その問題 点はメディアによって大げさに取り沙汰されている。たとえば、虚偽の2000年対応 報告をおこなえば世の終わりへの危険性が拡大すると、ペンタゴンも認 めている。では、この問題の本質には政府の隠蔽操作がなされているなどと、 陰謀論者のうちいったい誰が考えるだろうか?不適切であることは、必然的 に錯乱した説を支持することになるのである。

新千年紀になってやってくる、本当にとんでもないこととは、本当にとん でもないことが起こるとか終わるとかいった、ほら話のことにほかならない。 新千年紀は人類にとって偉大なるはじまりなのだろうか、それとも、この世 の終わりなのだろうか?あるいは、誤ったジレンマなのだろうか?しかし、 確かなことがひとつある。新千年紀にまつわるほら話は宇宙よりはやく拡ま る。問題は、これを止めるだけの頭脳があるかどうか?である。


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Copyright 1998
Robert Todd Carroll
Last Updated 01/06/99
日本語化 10/17/99

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