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Robert Todd Carroll

SkepDic 日本語版
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ルーン文字
runes

berkanaルーンとは、古代のアルファベット文字である:チュートン人(24文字)、アングロサクソン人(32文字)、スカンジナビア人(16文字)が用いていた。ルーン文字はナイフで刻み付けるのに適するように、丸みがほとんどなくほぼ直線のみで構成されている点をのぞけば、ラテン文字と似ている。ルーン文字は、1,000年以上にわたって用いられた。ほとんどの民族では、ルーン・アルファベットは13世紀から16世紀にかけての間に死文字となった。だが秘儀の世界に片足を突っ込んでいる人たちや、神秘の世界に住む特殊な人たちの間では、ルーン文字は今でも占いの一種として用いられている。ルーン文字が魔術に用いられていたことを示すような古文献はない。* ルーン文字の創作者たちはこの文字を、墓をつくったり物品の持ち主を示したり、あるいは他人の墓や物品に落書きするといったような、実用的な用途に使っていたのである。私はこの文字をオークニーのメーズハウで実際に見たことがある。それでもなお、一粒の砂の中に宇宙が見えてしまう人たちがいる;木や石に刻まれたアルファベットの中に未来が見えてしまう人たちもいるのだ。

‘ルーン’という語は、ノルウェー古語や英古語で‘ミステリー’という意味の run を語源としている。小さな木片や石のかけらにアルファベット文字を書き込んで袋にしまい込んで、そしてそれを取り出して決まったやり方で投げたり並べたりすることで、疑問に答えてくれたり、今ある状態を示してくれたり、未来を予見する手助けをしてくれたり、あるいはより良い決定を下す手助けをしてくれるというが、それはいったいなぜだろうか。こっちの方がよっぽどミステリーだ。ルーン文字は占いの道具となっていることで名声を得ているのかもしれないが、キリスト教会の指導者たちは魔法の呪文を唱えたり悪魔と交感するのにルーン文字が使われていると主張している。ニューエイジの多くはトールキンが好きらしく、そのため彼のホビットがルーン文字の一種を使って文字を書くという事実は、ルーン文字と魔法や神秘の関わりあいを強化しているのかもしれない。雷神トールや大神オーディンを崇拝していたバイキングの戦士たちが、アイルランドに侵攻するかどうか決めるために、ひざまずいてルーン文字の書かれた小片を投げていたなどと想像するのは難しい。

ルーン文字占いは霊的な洞察力を高めるのに役立つそうだ。まあ、これはたぶん他の方法でも似たようなものだろう。ハワイ大学医学部の生理学の教授マーチン・D・レイナー博士は、ルーン文字をじっと見つめることで無意識に接続することができ、自分自身に関するおおいなる知識が得られると主張している。

しるしをつけた石をランダムに選ぶことで、いったいどうやって自分自身のことがなんでも解るというのだろうか?おそらくこうしたルーン文字解釈は、ただたんに喚情的なものであるため、それぞれどこの誰にでもある程度は当てはまるようなことがらが含まれているのだ。厳密な科学的見地にたって受け止めるなら、これが最もありがちな可能性である。[The Runes Explained]

この善き博士は、彼の人生だけでなく科学にも新たな意味を与えている。しかしながら、彼は自分のルーン診断が“変革”と“ブレイクスルー”へと導くものであることを発見したと述べている。これはニューエイジでよく見られるゴールだ。アルファベットを刻み付けた石をランダムに選ぶことがいったいなぜ有益なのだろうか?答えは簡単だ。そうあしいと決 つけてしまえば、何だって変革やブレイクスルーの源となりうるのだ。ルーン文字、タロットカード易経エニアグラムマイヤーズ-ブリッグス性格診断....刺激的なものなら何だって自己反映や自己分析に使えることになるのだ。解決のつかない問題について決定を下すのを正当化するためには、何だって使えることになるのだ。決定にいたることで安心感がもたらされて不安感は減少するし、それにブレイクスルーや変革であるかのように感じたりもするかもしれない。ルーン文字を刻んだ石といったものを決定を下すのに使うとということは、決定に対する責任逃れをするのと同じことである。あなたにとっての選択は石とあなたの無意識によってなされたのであって、もしうまく行かなくてもあなたは気に病む必要はない、というわけだ。さらに、こうしたものには基準となる解釈が存在しないため、最初の解釈をいつでも新たな事実や新たな願望に合わせて改変してしまうことだってできる。もしあなたが託宣を得る神官なら、あなたは全勝無敗ということになるのだ。


付記タシタスは著書ゲルマニア (Germania)の第10章で、ゲルマン民族のおこなっていた占いの一種について述べている:

“占いやくじ引きには、彼らは他の民族よりも注意を払った。彼らのくじ引きの方法は単純なものだ:実が着いた木から枝を切り取っていくつもに分け、それとわかるようなしるしをつけて白い布の上にランダムにばらまく。そしてくじ引きが公共に関わるものの場合は共同体の司祭が、個人的なものの場合は父親が、神に祈りを捧げたのち、両眼は天を仰いだまま、枝を3切れ、一度に抽選する。そしてあらかじめ枝につけておいたしるしから解釈をおこなう。”

しるしがルーンアルファベット文字だったとは書かれてはいないが、ニューエイジの中にはこの一節を、ルーン文字が1世紀に存在していて、しかもそれらが占いに用いられていた証拠として解釈している。この一節からはどちらも正当化することはできない。


参考文献

読者のコメント

Copyright 1998
Robert Todd Carroll
Last Updated 11/23/98
日本語化 04/22/00

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