Robert Todd Carroll
SkepDic 日本語版
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気功
ch'i kung (qi gong)
気功(中国語読みでは chee gung)は、気の``科学と実践''とされている。気功は文字どおりエナジーを引き出すことである。肉体と精神の健康は、呼吸や身体の動きや意志のコントロールを通じて気を操る方法を学ぶことで向上するのだ、とされている。気功の師範は離れたところから気を操って癒すこともできるとされている。気をマスターすれば免疫機構を強化することさえできるといわれている。
西洋人のほとんどは、カンフー(功夫)や太極拳については漠然となら馴染みがあると思うが、これらはともに気功とも関係があるのだ。カンフーは武術であり、太極拳は体操や家庭武術の一種である。カンフーは時として煉瓦を素手で割ったりすることで知られている。太極拳はその演者による優雅なポーズで知られている。こうした表現や、あるいはもっと力強い実演などは、気をマスターした者から現れ出た超常的・超自然的な力の証拠とされているのである。
アジア武術の学校は西洋でも非常にポピュラーなものになった。こうした子供と大人のためのトレーニングセンターには優れた面もある。減量と肉体の鍛錬を促してくれるからだ。肉体の能力と精神の自制を鍛えてくれる。その多くは護身術に焦点をあてており、無敵の人間とまではいかないまでも、自信と自尊心を養ってくれる。しかし彼らは、``師匠''の下で訓練と鍛錬を積めば超常的・超自然的能力を発揮できるとか、あるいは意志の力でどんな病気も直るとかいったことを学生たちに信じ込ませている場合も多い。
気やその類のものには、いったいどのような経験的裏づけがあるのだろうか?科学的な対照試験の代わりに返ってくるのは、証言と主観的な評価の言葉である。しかし信者は自分たちがその形而上学的な説明によって欺瞞に陥っているとはけっして認めようとしない。鍼治療師は自分が滞った気の流れを整えているのだと信じ込んでいる。霊氣の治療師や手かざしをする看護婦は、自分が気やブラーナを流し込んでいるのだと考えている。ライヒ信者はオルゴンを流してそれを整えることによって身体を癒すことができると考えている。哲学としては、気功とその類はある種の調和や力や意味を与えてくれるものかもしれない。気は形而上学的信仰であるため、その存在を反証することはできない。だがオッカムの剃刀を使えば、気の調節だの開放だのといったことがらで現象を説明する必要はないのだ。
参考文献
Huston, Peter. "China, Chi, and Chicanery - Examining Traditional Chinese Medicine and Chi Theory," Skeptical Inquirer, Sept/Oct 1995.
Randi, James. An Encyclopedia of Claims, Frauds, and Hoaxes of the Occult and Supernatural (N.Y.: St. Martin's Press, 1995). $17.47
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