悪魔の逆回転メッセージ
backwards satanic messages
邪悪な人々、とりわけロックミュージシャンなどが、曲にメッセージを織り込んでいるとされている。テープを逆回転させると、そこには``愛するサタン(My sweet Satan)''あるいは``死んじまえ(Kill yourself)''といった邪悪なメッセージを聞くことができるというのである。
音楽を逆回転で聞くなどという人はほとんどいないため、こうしたメッセージを信仰するのは、いくつかの誤った概念にもとづいていると断定することができるだろう。すなわち、[1] 脳は暗示された言葉によってサブリミナル的に影響を受け、言葉の意味することがらは無意識に直接送り込まれる、[2] 意識は通常の言葉を逆回転した言葉に変換し、``本当の''意味はそのあとで無意識によって解釈される、という2つである。いずれの場合にせよ、無意識が意識を制御して、悪いことや悪事をおぼえるのだという主張がなされている。このようなメカニズムが存在するという根拠はまったくない。
悪魔の逆回転メッセージの存在や効果を信じるのは、おそらく、魔女のサバスでは祈祷文が逆に読まれるといった、古代の疑似キリスト教にかんする言い伝えがもとになってるのだろう。こうした信奉は主に、サタンの介在を述べたてることしかできない、ある特定のキリスト教原理主義の伝道者には根強く存在する。
ビートルズは楽曲を録音する際、音響効果を得るのためにテープを逆回転して用いたのだが、ポール・マッカートニーの死を伝える逆回転メッセージやサブリミナルメッセージが織り込まれているといわれた。ポールマッカートニーは、ちゃんと生きていたのである。ギタリストでオカルトも信奉していたジミー・ペイジは、``天国への階段''の中に``愛するサタンがここにあり(here's to my sweet satan)''と逆回転メッセージを入れたとされている。ビートルズの場合は意図的になされたものである:ペイジの場合、実際に聴いた人の多くはたんなる偶然だといっているが、聴いたことがない人はそう考えていない。リスナーの多くは自分が聞こえるだろうと期待したものや、他人から聞こえると言われたものを聴いてしまうのである。
メッセージを聞こうとして、レコードを逆回転させると、問題が1つ生じた:レコードを壊してしまうのである。しかし、ここからは少なくともメリットが2つ生まれた。1つはレコードの売上が伸びたこと、もうひとつはラップという音楽が誕生したことである。
関連する項目:アレイスター・クローリー (Aleister Crowley)、パレイドリア (pareidolia)、リバース・スピーチ (reverse speech)。
参考文献
Secret Messages on Records Excerpt from Big Secrets by William Poundstone
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