Robert Todd Carroll SkepDic 日本語版 |
二元論 dualism二元論は形而上学の教義で、世界には二つの存在があるとする。つまり、 明白な存在と独立した存在で、前者は物質的、後者は霊的存 在である。物質的存在は物理的にあるいは唯物論的にさまざまに定義でき、 経験論的世界、つまり私たちが見たり聞いたりする世界における実在とされ る。そして私たちの知覚や、顕微鏡や望遠鏡やレーダーなどの知覚範囲を拡 張する器械によって測ることができる世界でもある。 霊的世界は、さまざまな否定的表現で語られる世界である。非-経験論的 世界にひそむ非-物理的、非-物質的存在で、心理世界、精神世界、霊的世界 などとよばれる。 二元論者は不死の信仰を好む。もし身体以外の存在があれば、その非身体 は死を免れうるからである。この非-身体は非-物理的世界で 永遠に存在し続けることができ、非-物理的な神から非-物理 的な悦びや痛みを享受したりすると考えられている。この概念は非- 感覚的、つまりナンセンスなものだが、多くの人に大きな安らぎと希望を与 えているのは明らかである。 二元論者の中には、私たちが物理的なことがらと非物理的なことがらにつ いて話す時に、言葉を使い分けているという事実から推論を描き出すのを好 むものがいる。彼らがいうには、私たちは物理的なことがらについて話す時、 世界に存在する物質を指し示したり、それら物質間の因果関係を結びつけた りする。しかし一方、思考などのプロセスについて話す時、私たちは 世界に存在する物質に関する語は使わない。私たちは思考が世界のどこか特 定の場所で発生するなどとは考えないし、考えが物理的実体をともなう存在 だとも考えない。こうしたことは事実である;しかし、二元論者は言葉につ いてのこうした事実から、非物理的存在、つまり、他の現象に還元されずに 独立して存在することのできる、ある種の存在こそが本質である、と推論す るのである。二元論者は、たとえば色はそれ自体が独立して存在しえない、 ゆえに色は本質ではない、といった考え方に賛同するだろう:色は光や知覚 器官など、他の現象に還元できるのである。しかし、二元論者の多くは思 考や希望、意志、願望などが物質的プロセス(たとえば脳の状態)に還 元できるとは認めないだろう。彼らは、こうした心理的、精神的活動が、非 物理的存在の働きでもっともよく説明できるのだと信じている。これらは確 かに二元論で矛盾なく説明できるが、物理的に語るのが難しいことが らについて説明するのにいつも非物理的存在を持ち出す必要はない。 いずれにせよ、言葉が進化し発展してきたことが存在の本質の鋭い証拠で ある、と仮定するのは僭越だろう。 関連する項目:アストラル・プロジェ クション astral projection、意識 mind、臨死体験 near-death experiences、幽体離脱体験 out-of-body experiences、遠隔透視 remote viewing、魂 souls。
Churchland, Patricia Smith. Neurophilosophy - Toward a Unified
Science of the Mind-Brain (Cambridge, Mass.: Dennett, Daniel Clement. Brainstorms: Philosophical Essays on
Mind and Psychology (Montgomery, Vt.: Bradford Dennett, Daniel Clement. Consciousness explained illustrated by Paul Weiner (Boston : Little, Brown and Co., 1991). Dennett, Daniel Clement. Kinds of minds : toward an
understanding of consciousness (New York, N.Y. : Basic Ryle, Gilbert. The Concept of Mind (New York: Barnes and Noble: 1949). |
Copyright 1998 Robert Todd Carroll |
Last Updated 10/31/98 日本語化 09/25/99 |