前世回帰
past life regression
催眠療法師の中には、患者を過去の記憶が収められた意識の世界に導く者がいる。これら過去の記憶には、昨日の記憶や去年の記憶や、幼少期、胎児期、精子と卵子のころの意識までが含まれる(当然でしょう?)。そして記憶は、究極的には前世にまで遡るのだ。
患者が過去の生活を思い出すのは事実だが、記憶が正確であるという保証はまったくない。記憶は生活の経験や感覚にもとづいている(これらはしばしば催眠療法師が暗示するものだ)。あるいは、この世界での生活経験と感覚が混ぜ合わさったものである。
前世回帰には魅力的な特徴が2つある。ひとつは、セラピストと患者が、事実によって否定されるのを恐れることなく自由に思索に没頭できる、ということ。さらに、セラピストの診療料金は時間ぎめなので、過去何年かを探索するよりは、過去何世紀もを探索する必要があると言えば、``治癒''にいたるまでの診療時間を、大幅に延ばすことができ、したがって診療代金をふやすことができるのだ。前世を遡れば遡るほど、診療期間も延びるし、お金もかかることになる。
関連する項目:クリプトムネシア (cryptomnesia)、ブライディー・マーフィー (Bridey Murphy)、ダイアネティクス (dianetics)、チャネリング (channeling)、催眠術 (hypnosis)、記憶 (memory)。
参考文献
Anita Creamer: She has firm roots -- past and present
Spanos, Nicholas. "Past-life Hypnotic Regression: A Critical View," Skeptical Inquirer 12, no.2 (Winter 1987-88) 174-180.
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